部門

疾患別リハビリテーション

心大血管リハビリテーション

心肺運動負荷試験の様子(CPX)

心肺運動負荷試験の様子(CPX)

「歩いて来た患者さんは歩いて帰る」をスローガンに

心不全、心筋梗塞、狭心症、末梢動脈疾患の内科的治療後(経皮的冠動脈形成術、下肢動脈形成術)の方を対象に早期離床、早期社会復帰を目的に心臓リハ指導士による包括的心臓リハビリテーションを実施しています。また、他職種カンファレンス、内科回診に毎週参加し意見交換を行い患者さんの生活の質、健康の質の向上を目指しています。心不全療養指導士による再発予防や療養指導も入院中に併せて実施しています。
退院後は、心肺運動負荷試験(CPX)も実施しています。CPXは運動時の血圧や不整脈などをリアルタイムに評価できます。当院では患者さん1人ひとりに合った運動処方箋を作成し退院後の生活をサポートしています。患者さんからは「生活や運動を行うのに良い目安になる」と好評を得ています。
※現在はコロナウイルス感染拡大防止のため中止中です

心大血管リハビリテーション診療実績(処方数)

2019年度 2020年度 2021年度
狭心症 9 48 78
心筋梗塞 17 25 18
心不全 93 126 143
大血管系 1 1 11
その他 13 7 5
合計 133 206 255

脳血管疾患等リハビリテーション

脳血管疾患等リハビリテーション

急性期から生活期を見据えた介入を―

脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や頭部外傷、神経難病などの病気になると、多くの患者さんに身体機能や脳機能に障害が発生します。それにより、日常生活にも支障が生じ、病気を発症する前の生活が困難になります。リハビリテーションでは、これらの機能障害や問題点の改善を図り、よりよい日常生活を送ることができるようにサポートします。
神経難病の一つであるパーキンソン病に対しては、LSVT®(Lee Silverman Voice Treatment)と言われるアメリカで考案された、「言語障害」や「運動障害」に効果が期待されるリハビリを行っています。
また、脳卒中の患者さんの中には、自動車運転や職場復帰など社会生活に影響が出ることも多くみられます。当院では、自動車運転評価の実施や、福井県高次脳機能支援センターと連携し、積極的な社会復帰をサポートしており、急性期から回復期、慢性期までシームレスな治療を提供しています。

【脳卒中のリハビリテーションの病期別の目的】

脳卒中のリハビリテーションの病期別の目的
急性期リハビリテーション
急性期のリハビリテーションは、患者さんの意識状態や血圧、呼吸などのバイタルサインを考慮し、医師や看護等と連携しながら、身体を起こし車いすに乗ったり、立つ練習を行ったりといった早期離床を促します。病気になった場合でも、早期に、適切に身体や脳を動かし、活性化させることで、機能向上や早期退院に繋がると医学的に証明されています。
回復期リハビリテーション
回復期のリハビリテーションでは日常生活動作の獲得や、障害をおった身体機能の改善を目標に行います。また、嚥下機能や、高次脳機能障害に対するリハビリも行っています。医師を中心に理学療法、作業療法、言語聴覚療法といったリハビリテーションの専門職はもちろんのこと、看護師や管理栄養士、社会福祉士、義肢装具士等とも連携し、自宅退院を目指します。
生活期リハビリテーション
病院を退院し、日常生活活動や社会活動へ復帰する時期です。
退院後も安心して暮らせるように介護保険サービスの調整や自主トレの指導をさせていただいています。

脳血管疾患等リハビリテーション診療実績(処方数)

2019年度 2020年度 2021年度
脳梗塞 209 201 223
脳出血 78 83 81
くも膜下出血 33 30 32
脳腫瘍 4 7 11
頭部外傷 13 10 16
脳炎・髄膜炎 3 6 20
脊髄疾患 31 31 25
脳症 12 13 23
集中的リハビリ 65 51 49
その他
(神経難病、痙攣発作等)
38 40 74
合計 486 472 554

廃用症候群リハビリテーション

寝たきりにならないために―

廃用症候群とは、過度に安静にすることや、活動性が低下したことに起因する身体や精神に生じた様々な状態を指します。病態によって安静を必要とすることもありますが、過度に安静にしたり、あまり身体を動かさなくなると、筋肉がやせおとろえ、関節の動きが悪くなります。そしてこのことが、さらに活動性を低下させて悪循環をきたし、ますます全身の身体機能に悪影響をもたらします。最悪な状態では、寝たきりとなってしまうことがあります。特に手術後は安静を強いられることが多いです。そのため、病態に応じて血圧や心拍数等のバイタルサインをチェックしながら離床し、関節可動域運動や筋力トレーニング、基本動作・日常生活動作練習、嚥下練習等を行っていきます。積極的に身体を動かすことが効果的な予防や改善に繋がります。

運動器リハビリテーション

運動器リハビリテーション

痛みのない生活がみんなの喜び―

運動器とは、骨、関節、筋肉、手足の神経などのことで、身体を支えたり動かしたりする組織・器官の総称です。例えば、変形性関節症、骨折、肩痛、腰痛、スポーツ障害などがあり、私たちの日常生活や生活の質(QOL)を低下させる一因となります。当院では、主に手術後や保存療法の患者さんに対して、早期から運動療法(ストレッチや筋力トレーニング)や物理療法(低周波など)、装具療法などを用いてリハビリテーションを開始します。関節可動域や筋力の改善など身体機能を可能な限り改善すること、日常生活の獲得を目的とし、職場復帰やスポーツ復帰に向けて支援していきます。
退院後は、福井総合クリニックと連携し、必要に応じて定期的に評価を行い、運動指導などを行っています。

運動器リハビリテーション診療実績(処方数)

2019年度 2020年度 2021年度
脊椎疾患 633 573 560
鎖骨骨折 20 16 17
腱板断裂 242 287 333
変形性肩関節症 89 60 50
反復性肩関節脱臼 30 19 21
上肢骨折 76 68 79
変形性肘関節症 2 3 4
肘部・手根管症候群 12 6 10
手指 8 4 2
骨盤・下肢骨折 162 127 160
大腿骨近位部骨折 152 135 166
変形性股関節症 44 43 36
変形性膝関節症 202 195 234
前十字靭帯損傷 11 14 16
半月板損傷 38 27 21
変形性足関節症 12 15 11
その他の運動器疾患 162 110 98
合計 1895 1702 1818

呼吸器リハビリテーション

呼吸器リハビリテーション

「呼吸」を楽に=「生活」を楽に。

肺炎、慢性閉塞性肺疾患、胸部や腹部の手術前後など呼吸器の病気を患うと歩行時の息切れや息苦しさが生じ、活動が低下することで足腰の筋力が低下し、日常生活動作に制限をきたしやすくなります。筋力や全身持久力といった身体機能の向上、呼吸困難感の軽減、日常生活動作能力の改善、生活の質(QOL)の改善を目的に、全身の状態に合わせて筋力トレーニングや体力づくり、息切れの少ない効率的な動作の獲得、呼吸練習、呼吸介助手技などの排痰援助を行います。 また、誤嚥によって肺炎になった患者さんには、飲み込みに対する検査や指導も併せて行います。

呼吸器リハビリテーション診療実績(処方数)

2019年度 2020年度 2021年度
誤嚥性肺炎 141 201 200
肺炎 120 68 92
呼吸不全 0 4 16
その他(呼吸不全、肺膿瘍など) 14 7 32
合計 275 280 340

がん患者リハビリテーション

がん患者リハビリテーション

その「ひと」らしさに寄り添って…

入院してがんの治療(手術・化学療法・放射線療法など)を行われる患者さんに対し、症状の緩和や二次的障害の予防をし、機能や生活能力、生活の質(QOL)の維持・改善を目的として行うリハビリです。
がん患者さんにとって、がん自体に対する不安は当然大きいですが、がんの直接的影響や治療による機能障害や能力低下に対する苦悩も大きいものです。がんの進行もしくは治療の過程で、がん性疼痛やしびれ、倦怠感、呼吸困難などの症状、精神心理的問題、認知障害、摂食嚥下障害、発声障害、運動麻痺、廃用性や悪液質による筋力低下、関節拘縮、体力・持久力の低下、上下肢の浮腫などのさまざまな機能障害を生じ、それらによって起居動作や移乗動作、歩行、セルフケアをはじめとする日常生活動作に制限が生じQOLの低下をきたします。リハビリを実施することによって、これまでと変わらない日常を維持し、本人が望むその人らしい生活を送っていただけるようサポートをしていきます。

【がんのリハビリテーションの病期別の目的】

がんのリハビリは、がんと診断されたときから、障害の予防や緩和、あるいは能力の回復や維持を目的に、あらゆる状況に応じて対応していきます。図のように予防的、回復的、維持的、緩和的と4期に分けて考えていきます。

がんのリハビリテーションの病期別の目的
(国立がん研究センターより引用)
予防的リハビリテーション
診断後早期からのリハビリテーションであり、手術や化学療法などの治療が施行される前から機能障害の発症予防に努めます。
回復的リハビリテーション
手術や化学療法などの治療後に機能障害、能力低下をきたしている患者さんに対して最大限の機能回復を図ります。
維持的リハビリテーション
腫瘍の増大により機能障害が進行しつつある患者さんのセルフケア、運動能力を維持・改善することを目的とします。自助具の使用、動作のコツ、拘縮、筋力低下など廃用予防を含みます。
緩和的リハビリテーション
終末期において、患者さんの要望を尊重しながら、身体的、精神的、社会的にもQOLの高い生活が送れるように援助します。

がん患者リハビリテーション診療実績(処方数)

部位 2019年度 2020年度 2021年度
乳房 2 17 12
2 4 4
26 37 23
肝臓・胆のう・膵臓 51 36 28
食道・咽頭 6 3 8
大腸 52 63 48
生殖系 9 7 5
その他 12 7 13
合計 160 174 141

摂食機能療法

摂食機能療法

嚥下障害のある患者さんに対し、嚥下内視鏡検査(VE検査)や嚥下造影検査(VF検査)を行って飲み込みの状態を検査します。結果をもとにプログラムを立て、口の体操や食事の食べ方、食事形態の調整を行います。認定看護師や管理栄養士とも協力し総合的な評価を基にご家族への指導も実施します。

摂食機能療法診療実績(処方数)

2019年度 2020年度 2021年度
308 147 161

嚥下評価と指導

嚥下評価と指導

短期入院(1泊~2泊)にて飲み込みの検査と指導を行っています。検査は、嚥下内視鏡検査(VE検査)や嚥下造影検査(VF検査)を行っています。検査結果に基づいて、食事をとるために必要な指導を行っています。

入院による嚥下評価・指導実施件数

2019年度 2020年度 2021年度
22 21 16

集団リハビリテーション

失語症などにより言葉によるコミュニケーションがとりにくくなる場合があります。複数の患者さんが集まってリハビリを行うことで、実用的なコミュニケーション能力の練習になります。 また、嚥下障害がある患者さんには嚥下カフェを行っています。可能であれば、患者さんと一緒にご家族にも参加いただき、嚥下障害に対する理解が深まるように勉強会も実施しています。
※現在はコロナウイルス感染拡大防止のため中止中です