リハビリテーション科専攻医の前田先生による、ダンピング症候群との鑑別を要した心原性脳塞栓症に関する論文が、国際的学術誌 Diagnostics (IF=3.8)に掲載されました。
ダンピング症候群は、胃切除後の患者が食直後に動悸、ふらつき、めまい感などを生じる病態としてよく知られています。一方で、発作性心房細動も非常に類似した症状を呈することがあります。
本症例は、これまで「ダンピング症候群」として経過を追われていた食直後の心窩部不快感や動悸などの症状が、実は炭酸水の摂取などで容易に誘発される発作性心房細動に起因していたことが、心原性脳塞栓症を発症したことで初めて判明しました。文献的にも、食後や冷水・炭酸水の摂取、一気飲みなどが迷走神経を介して心房細動を誘発することが知られています。
ダンピング症候群は消化器疾患、心房細動は循環器疾患としてそれぞれ独立して学ぶことが多いため、両者の症状がこれほど酷似しうることはあまり広く認識されていません。本症例は、初期の診断に固定観念が囚われてしまう「アンカリングバイアス」により、心房細動の発見が遅れ、結果として心原性脳塞栓症に至るまで見逃されてしまった臨床的教訓を含んでいます。この認知バイアスの罠と教育的意義の高さが評価され、このたびの論文掲載に至りました。
Maeda H*, Hayashi K*, Sato M, Suzuki S, Nakaya Y, Hayashi H, Hayashi K, Miura T, Kobayashi Y. Chronological Magnetic Resonance Angiography Demonstration of Spontaneous Posterior Cerebral Artery Recanalization: Unmasking Cardioembolic Stroke and Postprandial Atrial Fibrillation Mislabeled as Dumping Syndrome. Diagnostics. 2026;16(21):3529. doi:10.3390/diagnostics16213529
(* Co-1st authors)
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